自筆証書遺言の方式緩和について
自筆証書遺言の方式緩和について
自筆証書遺言の方式緩和
財産目録については、手書きで作成する必要がなくなりました。
改正前
遺言者がその全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければなりませんでした。
改正後(2019年1月13日以降)
遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければなりません。
ただし、財産の全部または一部を一覧にした財産目録を遺言書と一体のものとして添える場合は、その目録だけは手書きでなくてもよくなりました。パソコンで作った一覧や、不動産登記事項証明書・預金通帳のコピーでも構いません。
(財産目録については、全てのページに遺言者が署名捺印する必要がある)
法改正により財産目録は手書きで作成する必要がなくなり、大幅に手間が少なくなりました。
※現在、自筆証書遺言には押印が必要です。2026年6月に公布された民法の改正により、施行日以後に作る自筆証書遺言は、押印が任意になります(公布から1年以内の、政令で定める日に施行)。施行日より前に作る遺言には、これまでの方式が適用されます。(2026年11月時点)
自筆証書遺言の保管制度
自筆証書遺言の保管制度が創設されました。自筆証書遺言には問題点があったからです。
自筆証書遺言の問題点
自筆証書遺言を利用する場合の問題点は大きく5つあります。
① 遺言作成後の紛失の危険性
② 相続人による遺言書の隠匿・変造の危険性
③ 相続人が自筆証書遺言の存在を把握できない
④ 複数の自筆証書遺言が出てきてしまった
⑤ 自筆証書遺言の作成の真正(「本当に本人が書いたのか?」)を巡る争い
改正後(2020年7月10日施行)
法務局における「自筆証書遺言保管制度」が創設されました。
① 「遺言書保管事実証明書」の交付請求【どの法務局に対しても】
・遺言書の保管の有無
・遺言書がある場合には「遺言書が保管されている法務局の名称」と「保管番号」が記載された証明書
② 「遺言書情報証明書」の交付請求【どの法務局に対しても】
・遺言書の画像
・遺言書の保管開始年月日
・遺言書作成年月日
・遺言者の氏名、生年月日、住所、本籍等が記載された証明書
③ 遺言書の閲覧請求【原本の閲覧は保管している法務局のみ、モニターでの閲覧はどの法務局でも】
保管制度の手続きの流れ
自筆証書遺言で保管制度を利用する際の手続きの流れは、下記の通りです。
① 遺言者が、法務省令で決められた様式で書いた遺言書を、封をしないまま法務局に持って行って申請
(申請先は、遺言者の住所地・本籍地、または遺言者が持っている不動産の所在地を担当する法務局)
② 法務局で本人確認と形式審査を行い、不備等がなければ遺言書の保管が可能
③ 遺言者が亡くなり、相続が始まる
④ 相続人や受遺者(遺言によって財産を贈られる人。相続人とは限らない)などが、法務局に、遺言書情報証明書の交付や遺言書の閲覧を請求
⑤ 遺言書が保管されていれば、法務局は請求に応じるとともに、他の相続人や受遺者等に、遺言書を保管していることを通知
⑥ 家庭裁判所での検認手続は不要で、遺産を受け継ぐ人は、すぐに相続の手続きに入れる
遺言書の検認について
自筆証書遺言の保管制度を利用した場合、検認の手続きはどうなるのでしょうか。
改正前
自筆証書遺言は、遺言者が亡くなったことを知ったら、速やかに家庭裁判所で「検認手続」を受ける必要がありました。法務局に預けていない遺言は、今も同じです。
改正後
通常の自筆証書遺言は、相続が開始したら家庭裁判所で「検認手続」を受ける必要があり、自筆証書遺言の保管制度を用いた場合、検認手続を省略可能になります。
法改正によるメリット
①法務局で遺言書原本が保管されるため、紛失や破棄のおそれがない
②保管申請の際に形式審査がされるため、方式違反のおそれがない
③家庭裁判所での検認手続きが不要となるため、遺言書に基づき、すぐに相続手続き(不動産や預金の名義変更など)に入れる
注意点
法改正によるメリットがある一方で、気を付けてほしい点もあります。
戸籍収集が必要
相続人が交付請求する場合には、相続人であることを証明するために戸籍取得が必要になります。
そのため、戸籍収集や相続人確定の手続きをしなくてはいけません。かかる期間は約1か月です。
代理申請不可
遺言者本人が法務局に出向いて手続きする必要があります。代理人を立てて申請をすることはできません。
遺言書の内容はチェックしてもらえない
保管制度は、遺言の内容まで審査する仕組みではありません。
そのため、遺言の内容に不備がある遺言書を作成してしまっていたという可能性もあります。
よくある「残されたご家族がトラブルとなる可能性がある」遺言の内容
① 遺留分を検討した内容になっていない
②相続税のことまで検討できていない(相続税上、不利ではないか等)
➂ 付言事項を有効活用できていない(争族を防ぐための配慮や対策がされているか等)
自筆証書遺言の作成を検討している場合でも、一人で悩まず、まずは専門家に相談してみることが重要です。

2013年 関西大学法学部に入学
2017年 卒業と同時に司法書士試験の勉強開始
2019年 令和元年度司法書士試験に合格
2020年 大手司法書士法人に勤務
2021年 ARIA司法書士事務所を開業
2023年 司法書士法人ARIAグループを設立









































