遺言書を作る6つのメリット|家族のためにできる相続対策
- 2026.08.27
「遺言書」と聞くと、
「財産が多い人が作るもの」
「家族仲が悪い場合に必要なもの」
というイメージを持つ方もいるかもしれません。
しかし、遺言書の大きな役割は、自分が亡くなった後の財産について意思を残し、残された家族が相続手続きを進めやすくすることです。
遺産分割が必要な財産については、原則として共同相続人全員で話し合うことになります。一方、法律上有効な遺言書で財産の承継方法を定めておけば、その内容に沿って手続きを進めることができます。
今回は、遺言書を作っておく主なメリットを6つご紹介します。
1.自分の希望する財産の残し方を示せる
遺言書の最も大きなメリットは、自分の財産を誰に、どのように残したいのかを自分で決め、その意思を形に残せることです。
遺言書がなければ、本人が生前に「この家は妻に残したい」「この預貯金はこの人に渡したい」と考えていたとしても、その希望がそのまま実現されるとは限りません。
相続は、自分が亡くなった後に行われる手続きです。そのときには本人が家族へ説明することはできません。
だからこそ、元気なうちに自分の考えを明確にしておくことに遺言書の大きな意味があります。
2.相続人全員で遺産の分け方を決める負担を減らせる
遺産分割が必要な財産については、原則として共同相続人全員で遺産分割協議を行うことになります。
相続人が多い場合はもちろん、遠方に住んでいる人がいる、普段あまり連絡を取っていない人がいるといった場合には、全員で話をまとめるだけでも大きな負担になることがあります。
法律上有効な遺言書によって財産の承継方法が具体的に定められていれば、原則としてその内容に沿って手続きを進めることができるため、相続人全員で一から財産の分け方を決める負担を減らせる可能性があります。
また、相続人の中に認知症などで判断能力が十分でない方がいる場合、その方がご本人だけで遺産分割協議に参加しても、有効な協議として扱われないことがあります。この場合、協議を進めるには、家庭裁判所で成年後見人等を選任してもらったうえ、その方に参加してもらうことになります。
法律上有効な遺言書で財産の承継方法が定められていれば、遺産分割協議そのものを経ずに手続きを進められる場合があり、こうした選任の手続きを経ないで済む可能性があります。ご本人にとっても、ご家族にとっても負担の小さい進め方になることがあります。
なお、遺言書があっても、その方が相続人であることや、遺留分が認められることに変わりはありません。また、遺産分割以外の場面(財産の管理や入院・入所の手続きなど)で別途成年後見制度の利用が必要になることもあります。
遺言書は、財産を残す本人のためだけではなく、残された家族の相続手続きを考えた準備でもあります。
3.不動産など「分けにくい財産」の承継先を決めておける
預貯金であれば金額に応じて分けることもできますが、自宅や土地などの不動産は簡単には分けられません。
何も決めていなければ、相続発生後に、
- 誰か一人が取得するのか
- 売却して代金を分けるのか
- 複数人で共有するのか
といったことを相続人が話し合うことになります。
法律上有効な遺言書で「この不動産は誰に承継させる」と具体的に定めておけば、不動産の承継方法をあらかじめ明確にしておくことができます。
特に、財産の中で自宅や土地が大きな割合を占める場合には、生前に不動産の行き先を考えておく意味は大きいでしょう。
なお、不動産は種類や所在地によって管理や売却のしやすさが異なるため、誰に承継させるかだけでなく、将来の管理負担なども考えておくことが大切です。
4.法定相続人以外の人にも財産を残せる
何も対策をしなければ、遺産は原則として法律上の相続人が相続することになります。
しかし、本人としては、法定相続人ではない人や法人などへ財産を残したいという希望を持っていることもあります。
遺言書では「遺贈」という方法によって、相続人以外の人などに財産を残すことも可能です。
つまり遺言書は、法律で決められた相続の形だけでは実現できない、自分自身の財産承継の希望を形にする手段にもなります。
なお、誰にどのような財産を遺贈するかによっては、税務上の取扱いや必要となる手続が異なる場合があります。課税関係の判断は税理士の業務ですので、該当しそうな場合は税理士へのご相談をご案内します。
5.遺言を実行する人をあらかじめ決めておける
遺言書では「遺言執行者」を指定することができます。
遺言執行者とは、遺言の内容を実現するために必要な手続きを行う人です。
遺言書を作って財産の分け方を決めても、亡くなった後には、不動産や預貯金などについて実際の手続きを進める必要があります。
そのため、財産の分け方だけではなく、誰が遺言の内容を実現するのかまで決めておくことで、相続発生後の手続きを進めやすくできる場合があります。
6.財産の分け方だけでなく、自分の考えや想いを伝えられる
遺言書には、財産の分け方だけではなく、そのような内容にした理由や家族への想いを「付言事項」として記載することもあります。
付言事項そのものには、通常、財産の分け方を指定する部分と同じ法的効力があるわけではありません。
しかし、
「なぜこのような分け方にしたのか」
「家族にどのように過ごしてほしいのか」
といった本人の考えが残されていれば、相続人が遺言の内容を理解する助けになることがあります。
遺言書は法律上の財産承継を定めるだけではなく、自分が亡くなった後の家族へ意思を伝える手段として活用することもできます。
遺言書は「自分のため」だけではなく「家族のため」の準備
遺言書を作る主なメリットをまとめると、
- 自分が希望する財産の残し方を示せる
- 相続人全員で遺産の分け方を決める負担を減らせる
- 不動産など分けにくい財産の承継先を決めておける
- 法定相続人以外の人にも財産を残せる
- 遺言を実行する人をあらかじめ決めておける
- 財産だけでなく、自分の考えや想いも伝えられる
という点があります。
ただし、遺言書を作れば必ず相続トラブルを防げるわけではありません。
兄弟姉妹(およびその代襲相続人)を除く一定の相続人には遺留分が認められており、遺言の内容によっては、遺留分侵害額請求を受ける可能性があります。また、遺言書は法律で定められた方式に沿って作成する必要があり、内容が曖昧であれば、かえって相続人が判断に迷う可能性もあります。
大切なのは、単に遺言書を作ることではなく、家族関係や財産の状況、自分の希望に合った内容にすることです。
司法書士法人ARIAグループでは、ご家族の状況や財産内容、ご希望を確認した上で、遺言書の作成についてご相談いただけます。担当する範囲は次のとおりです。
- 当法人(司法書士)……遺言書作成に関する相談、相続登記を見据えた遺言内容・文案の整理、公正証書遺言にする場合のサポート、相続登記
相続税や不動産の売却など、他の専門家の関与が必要になった場合は、グループ内の税理士・宅地建物取引業者(合同会社Lumie)及び提携弁護士をご案内します(いずれも当法人の司法書士業務とは別個の契約です)。
「まだ遺言書を作ると決めたわけではない」という段階でも、まず自分の場合に遺言書を作ることでどのようなメリットがあるのかを整理するところからご相談ください。
初回のご相談は無料です。 ご来所による相談のほか、オンライン面談にも対応しています。
※本記事は一般的な制度の解説で、個別の事案では取扱いが異なります。税務・紛争対応・不動産売却は、グループ内の税理士・宅地建物取引業者(合同会社Lumie)または提携弁護士・外部業者の業務で、当法人の司法書士業務とは別個の契約です。記載は執筆時点の法令によります。

2013年 関西大学法学部に入学
2017年 卒業と同時に司法書士試験の勉強開始
2019年 令和元年度司法書士試験に合格
2020年 大手司法書士法人に勤務
2021年 ARIA司法書士事務所を開業
2023年 司法書士法人ARIAグループを設立









































